はじめに
私は葛城青年会議所に2014年に入会しました。父親が特別会員ではありましたが、特に青年会議所のことは知りませんでした。青年会議所に入会するまでは、家庭と仕事の往復のみで、他団体にも所属していなかったため、会議の進め方、事業の組み立て方等分からないことも多々ありましたが、言われること、見るものすべてが新鮮でした。先輩方に厳しくも優しく、ご指導をいただきながら自らの住み暮らす地域のこと、人とひととのつながり、リーダーとしての考え方等、様々なことを青年会議所で学ぶことができました。
入会して10年となる年に理事長という役職をお預かりするにあたり、理事長として、そして青年会議所に所属するメンバーとしても、若いメンバーに今まで自分が学んだこと、感じたことを伝えることができているのかということを考えました。自分の胸に手を当てて考えてみてください、できていますか。私自身できていないと感じています。感銘を受けたことや、逆になぜこれをしなければいけないのかと感じたこと等、多種多様の多くの学びを得たことを今一度考え、意識し、自らの言葉として、次の世代に伝えることが必要です。それを聞いたメンバーがどう捉えるかは受け取り手次第ですが、まずは私たちが伝えなければ他のメンバーは考え、意識することができません。もちろん、聞いたことがすべて正しいとまでは言いませんが、自分が言われて覚えていることや気づかされたこと、または、今考えると自分のためだったと理解したこと、そして、先輩の経験から発せられる言葉や想いを承継し、自身の中で昇華し、後輩に伝えていくことが、葛城青年会議所の今後の礎となります。新たな礎を創るためにもメンバー一人ひとりが時代を担う者へと成長しなければなりません。
【地域共創】~共に拓き 共に創る 葛城の未来~への道
創立40周年の運動指針である「結いの心運動」を経て、創立50周年に打ち出した運動指針「【地域共創】~共に拓き 共に創る 葛城の未来~」には、10年先の地域の未来を考えた時、葛城青年会議所が今まで以上に行政等のあらゆる関係機関と協働し、地域の課題解決を通して、プラスの価値を創出できる存在であるべきだと明記されています。少子高齢化社会とそれに続く人口減少といった日本全体の問題や、地域の様々な問題、課題は今すぐ解決へと向かうものではありません。しかし我々葛城青年会議所が率先し、中心となり考え、行動し続けることで、地域の未来を切り開いていかなければなりません。新型コロナウイルス感染症の発生から数年経ち、その中で我々葛城青年会議所はこんなときだからこそ地域のために何ができるのかということを常に考え、行動してまいりました。それは我々だけではなく、行政や地域の諸団体の方々も同じ想いだと感じております。長く続くコロナ禍の中でも、我々葛城青年会議所が中心となり、行政や地域の諸団体と手を取り合い、今まで以上の、そして今までにないパートナーシップを構築することが必要です。それが地域の未来のためであり、我々にしかできないことです。目の前のことも大切ですが、自身の住み暮らすまち、そして家族のためにも、メンバー一人ひとりが運動指針の体現に向けて意識し、実行しなければなりません。一人の想いが広がり、そして人を動かし、やがて地域を変える道しるべとなるのです。
会員資質の向上
近年、多くの青年会議所で、経験年数が短いメンバーが増えてきています。葛城青年会議所でも同様に経験年数が短いメンバーが多くを占めます。一方で、年齢の若いメンバーに入会いただいたことで活気に満ち溢れています。しかしメンバー数が減少している中で、経験年数の長いメンバーの卒業により、経験豊富なメンバーが減少したことが問題となってくると考えています。実際に、各役職における指導力の不足も見られ、そして委員会での経験から得られたものを伝えることができなくなっていること等が挙げられます。
葛城青年会議所を今後も継続、発展させていくためには様々な要素が必要となってきます。まずは、メンバーのJAYCEEとしての資質の向上が必要です。青年会議所メンバーとしての知識を増やすことでの資質の向上、メンバーとの友情を深め、人とひとのつながりを大切にすることで得られる資質の向上、地域のことを考え貢献することで得られる資質の向上等、様々な機会で資質を向上することが出来ます。私は、老若男女問わず人との関わりや、つながりから得られる知識や考え方は何ものにも代えがたいものだと思っています。青年会議所には先輩を含め多くの人と接する機会があります。その中で委員会や例会が一番身近な機会です。まずはその機会を大切にし、そしてその中で自分の青年会議所での役割を意識することでより資質の向上を図ることができます。メンバーの資質向上は青年会議所活動だけで発揮されるのではなく、自身の会社、コミュニティにも影響を与えることができます。
新たな仲間、そして真の友と出会うために
40歳までという期限がある青年会議所で出会う人、それは仲間であり友です。初めは同じ委員会に所属するメンバーという認識から、会議、事業を一緒に行うことで仲間となり、同じ時間、そして同じ目的で活動をしていく中で、共感し、時には反発し、そういった経験を共有することで真の友と呼べる存在になっていくのではないでしょうか。私自身も生涯付き合っていけると思える友に青年会議所で出会っています。真の友と出会うことができるのも青年会議所の魅力の一つであります。そして一つの目的に向かって、時には本気で言い合うことのできる関係を作ることができる団体は青年会議所しかないという強い気持ちで、新たな仲間を探さなければなりません。
新たな仲間を迎えるためにも、我々がどんな団体であり、どんな活動をしているのかということをまずはしっかりと伝えなければなりません。知ってもらうための方法は様々ですが、効果的なのはやはり実際に事業に参加してもらうことではないでしょうか。新たな仲間とつながりを作ることは、我々と同年代の人たちが今何を求めているのか、情報化社会といわれる中で自社に何を取り入れていくべきなのか、それは会員拡大のためだけではなく、メンバーの学びにもつながることです。また、新たな仲間に少しでも早く葛城青年会議所のメンバーとして打ち解けてもらうためにも、そして1年間を共に過ごすメンバーのことを少しでも多く知り、全員が同じ方向に向かって進んでいくためにも、既存メンバーも含め全員が親睦を深める必要があります。
青年会議所に入会し、多くの先輩と出会い、卒業を見送り、そして後輩が入会する。人が入れ替わっていくことを繰り返しながら歴史を紡いできたのが青年会議所というものです。もっと多くの、まだ見ぬ仲間、そして友に教えたいという想いをメンバー全員で持ち、一人でも多くの仲間、そして友を葛城青年会議所に迎えましょう。そのためには、前述の資質の向上をもって、青年会議所の魅力、自身の学びになった経験、そういったものを相手に確実に伝え、理解をしていただき、共感を得ることが必要です。その先にまだ見ぬ仲間、そして未来の友がいると私は確信しています。
奈良ブロック大会
2023年度奈良ブロック大会主管LOMとして、我々葛城青年会議所は葛城地域並びに奈良県全域にどんな影響を与えることができるのでしょうか。ただブロック大会を開催するだけであれば、主管LOMという大きな担いを受けた意味がありません。受けたのであれば、開催をすることによって葛城地域に、奈良県全域を発展、成長させていくような大きな影響を与え、持続可能な地域社会を構築していかなければなりません。そのためには、OB諸先輩をはじめ、行政はもちろん、地域団体ともより一層パートナーシップを形成し、協働体制を構築することでより大きな影響を残すことができます。我々青年会議所の事業を通して、一人でも多くの、そして一つでも多くの団体が地域のために何かをしたいと思い、それぞれの考えで行動に移していくことができれば、地域の明るい未来に向けて進み出すことができます。そして奈良ブロック大会を通して今まで以上に、今までにない団体とつながりを持つことができます。
創立50周年に打ち出した運動指針「【地域共創】~共に拓き 共に創る 葛城の未来~」を、真に体現するのに相応しい大会とすることを念頭に置き、そして葛城青年会議所メンバー全員で構築し、2015年以来の主管LOM開催を成功に導いて参りましょう。
地域の子どもたち
葛城地域の未来を担う子どもたちのために、地域のことを知り、体験等を通して、子どもたちに地域の魅力を伝えることが必要です。なぜなら、あらゆる情報が簡単に手に入る現代、またコロナ禍という近年稀に見る状況下の中、子どもたちが様々なことに直接触れ合える機会が減少しているのが現実です。やはり子どもたちが成長していく中で、体験したことというのは思い出に、記憶に残るものです。子どもたちが地域の魅力を知っていれば、子どもたちが進学や就職でまちを出ても、いずれは自分が育ったまちに帰ってくるでしょう。そのような地域を創ることができれば、持続可能な地域となり、魅力溢れる地域には人が集まります。それが地域の未来を担う人財を創出することにつながります。それが我々の使命ではないでしょうか。子どもたちに自分の住み暮らすところに魅力を感じ、郷土愛をもち、故郷自慢を、自信を持って話すことができる人財を創出し、そのために我々青年会議所だからこそできることを考え、地域の子どもたちと共有し伝えていかなければなりません。そして子どもたちと接すること、また子どもたちのために地域のことを考えることで、メンバーが地域の未来を改めて意識することにもつながります。
広報について
近年広報媒体として様々なものが出てきています。我々葛城青年会議所も、自分たちの行っている運動や活動を少しでも多くの人に知っていただくため、広報誌をはじめ、複数の広報媒体を通した広報活動を展開しています。本年ではその精度を上げ、より効率的に広報活動を行っていくことが必要です。周りと同じことをしているだけでは意味がありません。周りと一つでも違いをみせることが人の目を引きつけることにつながります。事業の報告をするだけではなく、定期的に更新することも一つの手段であり、目にとめていただくことにもつながります。また数多くあるSNSもただ発信をするだけではなく、情報共有の場、様々な情報を取り入れる場、多くの人や団体とつながりを持つことができるツールです。そのツールを最大限に活かし、さらに多くの人や団体とつながることで、我々の運動や活動の一助となり、会員拡大にもつながります。
おわりに
我々葛城青年会議所ができること、我々でしかできないことを常に考え、地域そして日本の問題や課題を解決するため、思考し行動し、個人ではなく全員で一丸とならなければならなりません。2023年度は大きな柱として「会員資質」「会員拡大」「奈良ブロック大会」の3つを据え、邁進させていただきます。その中で相手を思いやり、相手のことを考え、相手の立場に立ってものを言う、その心構えが人をひきつけ、人を動かすのではないでしょうか。今すぐでなくとも、少しずつでも成長を実感し、実感させてあげられれば、個人の成長、そして葛城青年会議所がより一層地域に必要とされる組織となり、メンバー一人ひとりが次代を担う者になれると私は確信しています。メンバー一丸となり、2023年度が素晴らしい一年となるよう駆け抜けて参りましょう。